【合格書類】2020年度/慶應大学法学部政治学科/フィリピンでの人権侵害に立ち向かいたい

mochi

普段であれば、入塾しないと閲覧できない先輩の合格書類を特別に公開!
ルークス志塾目黒キャンプから慶應義塾大学法学部政治学科(FIT入試)に合格を果たした、もっちーさんの志望理由書です!

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慶應義塾大学法学部政治学科 志望理由書

 国民から絶大な支持を受けている独裁者の政策に対し、国際社会からの人道的介入は正当化されるだろうか。フィリピンのドゥテルテ大統領はダバオ市長時代から「ダバオ死の部隊」と呼ばれる自警団による麻薬、薬物犯罪者の暗殺を黙認してきたともされ、大統領就任直後から国民が薬物犯罪撲滅への期待を自分に託していると判断し超法規的な制裁を繰り返してきた。しかし、ドゥテルテ政権は就任の半分である3年が過ぎた今も国民の8割に支持されている。私は実際にフィリピンに2回渡り、彼の超法規的な制裁によって苦しんでいる人々と出会ってきた。墓地スラムに住んでいる父親が麻薬犯として捕らえられてしまった家族は、「お父さんがいなくて生活が苦しい。」と切実に語っていた。また、映画「ローサは密告された」で描かれていた、生計を立てるために少量の薬物を扱っていたスラムの一家に暴力で売人の密告や高額な保釈金など恐喝まがいの要求をしてくる警察の腐敗ぶりに驚愕した。貧困層ほど空腹を満たすために麻薬に頼ってしまうというなど、社会的に弱い立場の者ほど理不尽な人権侵害の対象になりやすい現状があるのだ。

 このように不当に侵される人権を保護するため、国際社会は人道的介入をすることで政権を糾弾する。だが、自国民を保護する義務を果たそうとしない国家に対して、国際社会全体が彼らを保護する責任を負うことが正当化されるが、内政不干渉の原則によって介入が拒絶されることも少なくない。特にドゥテルテ政権のように国民の大多数によって政権が支持されて政治的正統性が認められている場合は、体制を非難する意図での国際社会からの介入は国民の民意を否定するものと捉えられかねない。国際社会からその国家の政権を安易に非難・介入をすることは、体制を支持するフィリピン国民のナショナリズムを刺激し、政権による人権侵害行為をさらにエスカレートさせる可能性がある。また、常に介入が「新しい帝国主義のラベル」となる危険性を孕んでいる。単独または総数国家による国連を通さない介入は自由度があるものの、「先進国のエゴ」の押し付けが起こりうるのだ。これに対し、国連安全保障理事会の承認のもとで、憲章第7章により、国際の平和および安全に対する脅威として国連が介入するのがより恣意性を排除できる正当な対応となるが、即応性においても検討が必要である。

 被介入国が安全保障政策の決定過程に関わる事ができないため、文化が異なる現地の人間にとっての安全を彼らの目線から定義することも必要である。そして、人道的理由に基づく介入を行う上では「正義とは何か」を考察し続ける想像力が必要である。独裁者が一部の層の人権を侵害するのも、その政策を国民が支持するのも彼らなりの「正義」があるからだ。事実、フィリピンはドゥテルテが大統領に就任する前の2015年には、人口の1.7%がシャブと呼ばれる覚せい剤に手を出しており、麻薬の密売人集団が市民を射殺するという事件が頻繁に起きていた。「これまでの自らの危険を脅かしてきた麻薬」を一掃することはフィリピンの国民にとって悲願であり、強権的な方法をとってしても市民から麻薬犯罪を根絶しようと取り組むドゥテルテの支持率が高まることも十分に理解できる。また、これまでの政治家が汚職や選挙公約の不履行を繰り返していたことへの不満から、約30年間のダバオ市長としての治安向上と経済成長の実績が評価されているのも頷ける。

 このように複雑な構造の中にあるフィリピンでの人権侵害に立ち向かうために、まずフィリピンの社会構造について精緻な分析を行いたい。具体的には選挙のあり方や政党システムなど、大統領に権力が集中している構造を明らかにする。また、権力者と民衆によって不安定なポピュリズムが生み出される要因を探り、政権にここまでの高い支持が集まる過程を分析したい。貴学にはフィリピンについて詳しく研究なさっている粕谷裕子教授もいらっしゃるため、ぜひ師事したいと考えている。独裁政治の傾向は他の東南アジア諸国でもみられるため、他の途上国と比較しながらフィリピンが抱えるユニークな課題を見極めたい。次に、政治哲学や政治過程論などへの理解を深めながら、良き統治のあり方を考察していきたい。汚職や権力の濫用を抑制する統治構造やメディアの監視、エリートの大衆操作性から逃れ正義に叶った判断ができる市民社会のあり方を考え、シャンタルムフが指摘したように形式的な合意形成にとどまることなく闘技的デモクラシーによってより権利の調整が行われる民主社会を構想したいと考えている。そうした学びを深めた上で、国際社会がどのように関わっていくべきかついて研究したい。官僚主導型や政党主導型、多元主義型などODAにおける様々なアプローチの違いについて検討し、また介入の是非の判断基準について、先進国の恣意性に左右されるのではなくより細やかな定義を明らかにした上で国際関係論や併設されている法律学科の国際法の授業からその役割を考察したい。

以上

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