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【合格書類】2020年度/慶應義塾大学法学部政治学科/日本での難民受け入れ体制を変えたい

普段であれば、入塾しないと閲覧できない先輩の合格書類を特別に公開!
ルークス志塾目黒キャンプから慶應義塾大学法学部政治学科(FIT入試)に合格を果たした堤陽奈子さんの志望理由書です!

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目次(ページ内リンク)

慶應義塾大学法学部政治学科 志望理由書

 世界中の国々から見捨てられた棄民、それが難民だ。少数派である上、国籍すら持たない「見ず知らずの国なき人々」である彼らの苦悩に接してきたからこそ、私は難民問題に果敢に取り組みたい。

 中学3年生の時に参加した難民問題について学ぶ2泊3日のワークショップで、私は日本に逃れてきたロヒンギャ難民の方と出会った。彼は祖国で迫害を受け命からがら日本へ逃れてきたものの、入国管理局での劣悪な収容生活を強いられた。慣れない畳敷きの部屋に見ず知らずの他国の人々と収容され、外出の自由を制限された4年間。命を絶とうかと何度思ったか知れない。涙ながらに語る彼の姿が目に焼き付き、日本での難民受け入れ体制を変えたいと強く思った。

 これまで私は、書籍や論文を読み、日本の難民受け入れに関する様々な立場の人に直接お話を伺ったうえで、調査論文「日本における難民受け入れの現状と今後について―政府、支援団体、世論に着目して―」の執筆に取り組んだ。このような考察を経て、私は受け入れ側の政府・民間団体・世論の三竦み状態が問題と考えるようになった。まず政府に対し、難民認定を支援する弁護士などが体制の改善を訴えてきたが、政治家は世論が高まっていない現状では自身の選挙にマイナスになりかねず、制度改革に着手できていない。政府の難民支援が生活保護水準にも満たず限定的であるため、民間団体の支援負担は大きく、世論を醸成する活動には資金が不足している。よって、民間団体が難民との交流イベントを開催してきたが、一部の意識の高い人々を巻き込むに留まり、広く機運を高めるには至っていない。

 そのため、世論を突破口とできないかと考えた私は、カナダのプライベート・スポンサーシップ制度に注目している。この制度では、難民と市民をマッチングし入国前からスカイプ等を通して信頼関係を築いた上で市民が難民のカナダでの生活をサポートすることで、市民を巻き込むことに成功している。結局、地域や職場、学校など実際に難民と共に過ごし、受け入れる主体となるのは市民だからこそ、平均26年間にも及ぶ避難生活において難民に対しての市民の前向きな姿勢は必要不可欠だ。難民との接点を増やすことで難民問題への関心を喚起し、特に受け入れの精神的土壌を作り上げられるのではないかと私は考えている。実際に大槻茂実氏や永吉希久子氏、李容玲氏による先行研究では、日本人は外国人と関わる経験がないために外国人を恐れているというデータが示されてきた。WELgeeが開催する難民との交流イベントに参加した際にも、ある参加者が私に「黒人難民と話すの怖くないの?」と訊いてきたが、難民と交流した後は黒人の難民と肩を組むほど仲良くなっていた。

 しかし、一方でこの制度の実現において、社会保障も逼迫している現状では、限られた税金を難民支援に使われることへの抵抗も考えられる。この点につきUNHCR協会特別顧問の滝澤三郎氏もご同意下さった。理想のみでは現状の制度を変えられないため、急速な人口減少が進む日本で、人権に細心の注意を払いながら難民を労働者として受け入れるなど、世論を動かしていく具体的な方策を検討していきたい。難民の認識を「助けてあげる存在」から「共に社会を構成する一員」へと変えることで、難民受け入れへの意識を高めたいと考えている。実際に私が交流してきた10名以上の難民の方々は弱者として守られるのでなく日本への貢献を通し自らの存在意義を感じたいと仰っていた。世論と難民の声とのバランスをとりつつ、日本の難民受け入れ体制を少しずつでも変えうる施策を模索していきたい。

 もちろん、文化的衝突や難民の日本語教育、企業との連携の難しさなどの問題が生じるように、難民受け入れは一筋縄ではいかない。だからこそ、私は貴塾での学びを切望する。まず、国際政治論や歴史学、地域文化論で難民の背景を、マス・コミュニケーション論で世論の構築について学びたい。加えて難民の権利を守るため、国際法や国際人権法、労働法など法律学科の授業も自由にとれる制度は非常に魅力的だ。さらに、日吉からインテンシブコース、英語會での活動を通し英語力を磨き、そのうえで貴塾の提携校であるヨーク大学に留学し、設置されているCentre for Refugee StudiesにてRehaag教授に師事し、カナダでの難民受け入れの成功事例を研究したい。帰国後には錦田愛子准教授の研究会に入り、難民発生地域の状況を踏まえ受け入れ体制にアプローチする日本なりの施策を検討していきたい。先生は難民発生地域についての知見をお持ちの上、難民の避難先での安定した生活に焦点を当てた研究をされているため、ぜひ先生にご教授頂きたい。入学させて頂いた暁には多様な塾生と切磋琢磨し合い、必ずや難民問題の解決に貢献できる人材となることをここに誓う。

以上

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